「8020(ハチマルニイマル)運動」――
80歳で自分の歯を20本残すことを目指すこの運動、実は生活の質(QOL)や健康寿命にも深く関わっていることがわかってきています。
今回は、その理由と今からできる口腔ケアについて解説します。
8020運動とは?
8020運動とは、**「80歳になっても自分の歯を20本以上保とう」**という健康づくりの運動です。
1989年(平成元年)に厚生労働省と日本歯科医師会が提唱しました。
📊 達成率の推移
- 開始当初(1989年):達成率 約7%
- 最新(令和4年・2022年)調査:達成率 51.6%
歯があるとQOLが高くなる理由
自分の歯でしっかり噛めることは、食事の満足度・栄養摂取・脳への刺激など、多くの側面でQOL(生活の質)に影響します。
- よく噛める人ほど食事を楽しめる
- 歯がある人のほうが会話がスムーズで社会参加しやすい
- 噛むことで脳の血流が増加し、認知症予防効果があるとされる
📊 関連データ
- 自分の歯が20本未満の人は、20本以上の人よりフレイル(虚弱)になるリスクが約1.8倍
👉 出典:8020推進財団 「8020達成者の健康調査」報告書 - 歯の本数が多い高齢者は、要介護認定率が低い傾向
👉 出典:介護予防マニュアル(厚労省 PDF)
歯を失うことで起こるリスク
歯の本数が少なくなると、以下のようなリスクが高まります。
- 噛めないことで食事が偏る(軟食中心)
- 嚥下力の低下 → 誤嚥性肺炎のリスク上昇
- 義歯の不調 → 会話を避ける → 孤立・うつ傾向
今日からできる8020への一歩
口腔ケアは特別なことをしなくても、**「続けること」**がなによりの予防になります。
- 定期歯科健診(最低でも年1回、できれば半年に1回)
- 歯石取り・クリーニングで清潔を保つ
- 義歯も清潔&調整を忘れずに
- 舌・唇・頬の筋肉を動かす「パタカラ体操」もおすすめ!
まとめ
8020運動は、単に「歯の数を保つ」ことではありません。
人生を楽しみ、自立した生活を送るための健康戦略です。
「歯なんてもう遅いよ…」と思わず、今からできるケアを少しずつ取り入れていきましょう。
家族にも、自分にも、笑顔のごはん時間を残すために。
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