はじめに
介護士として働いていると、「自分たちの給料はどこから出ているのか?」という疑問を持ったことはありませんか?
実はその答えは「介護報酬」にあります。今回は、介護報酬の仕組みをわかりやすく解説しながら、介護士の給料とのつながりについて考えていきます。
介護報酬とは?
介護報酬とは、介護サービスを提供した事業者に対して支払われる「報酬(=対価)」のことです。
この報酬は介護保険制度に基づいて国や自治体が支払うもので、介護サービスの種類ごとに金額が決められています。
- 報酬の原資は主に3つ
- 国・自治体の公費(約50%)
- 40歳以上の国民が支払う介護保険料(約50%)
- 利用者負担(1〜3割)
つまり、介護士の給料は「介護報酬」から事業所の運営費・人件費として支払われており、利用者の自己負担分だけで成り立っているわけではないのです。
介護報酬の内訳と単位制度
介護報酬は「単位制」で計算されており、サービスごとに1単位=10円(地域により変動あり)で設定されています。たとえば、訪問介護(身体介護30分未満)は約250単位、デイサービス1回は約650〜850単位など、提供時間やサービス内容で金額が決まります。
例:通所介護(デイサービス)の介護報酬
要介護度 | 基本単位(1回) |
---|---|
要介護1 | 約655単位 |
要介護2 | 約773単位 |
要介護3 | 約896単位 |
ここに加算(入浴・個別機能訓練・送迎など)や地域加算(都市部は1.1倍など)が追加されます。
介護士の給料にどうつながるのか?
事業所は、利用者に提供した介護サービスの内容を記録し、国保連を通じて介護報酬を請求します。この収入から、事業所の家賃・光熱費・車両維持費・システム費・備品費・保険料などを差し引いた残りが人件費です。
そのため、報酬単価が高いサービスや加算をうまく取得できるかが、スタッフの給料に大きく影響します。
介護報酬改定が給料に与える影響
介護報酬は3年に一度のペースで改定されます。例えば、令和6年度(2024年度)の改定では、以下のような特徴がありました。
- 基本報酬:全体で0.61%アップ(ただし、業種によっては減額も)
- 特定処遇改善加算:継続支給
- 生産性向上・ICT導入の加算強化
報酬がアップすれば、事業所の利益が増え、給料改善や人材確保につながる可能性がありますが、一方で厳しい改定も多く、減収となる事業所もあります。
よくある誤解:「給料は国が決めている?」
介護士の給料は「国が直接決めているわけではありません」。
国が決めるのはあくまで**介護サービス1回あたりの報酬額(単位数)**です。
その報酬をどう配分するかは、事業所の方針と経営状況によります。
つまり、同じサービス内容でも「給料の高い職場と低い職場がある」のはこのためです。
今後の見通しと課題
高齢化が進む中、介護報酬は抑制される傾向もあります。限られた財源の中で、処遇改善加算やLIFE加算など**「加算の取得による報酬アップ」が求められる時代**です。
さらに、介護ロボットやICTを活用して生産性を上げる動きも、報酬制度に組み込まれてきています。
まとめ
- 介護士の給料の原資は「介護報酬」から
- 介護報酬は介護保険制度に基づき、公費・保険料・利用者負担から成り立っている
- 報酬改定や加算の有無が、給料や働き方に大きな影響を与える
- 給料の差は、サービス種別・事業所経営・加算取得状況によって異なる
今後に向けて
これから介護士を目指す方や、転職を検討している方は、単に「給料額」だけでなく、「その給料の根拠=報酬構造」にも注目して職場選びをすることが重要です。
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