訪問看護と訪問リハビリの違いとは?制度・体制・利用方法をやさしく解説

「訪問看護とリハビリって何が違うの?」「うちの親にはどちらが合っているの?」と迷っていませんか?

どちらも自宅でリハビリや医療的ケアを受けられるサービスですが、制度の仕組み・担当する職種・費用・利用できる頻度などが大きく異なります。違いを知らずに選んでしまうと、「思っていたサービスと違った」「もっと適切な選択肢があったのに」と後悔することも。

この記事では、訪問看護と訪問リハビリの違いを徹底比較。さらに「訪問看護ステーションのPT・OTによるリハビリ」という混乱しやすいポイントも丁寧に解説します。費用・保険・ケース別の選び方・よくある質問まで網羅しているので、ぜひ最後まで読んでみてください。


Contents

訪問看護と訪問リハビリ:一目でわかる比較表

まず全体像を表で確認しましょう。

項目 訪問看護 訪問リハビリテーション
提供主体 訪問看護ステーション 病院・診療所・介護老人保健施設(老健)
担当職種 看護師・准看護師(PT・OT・STも勤務可) 理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)
主な保険 介護保険・医療保険(両方対応) 介護保険・医療保険(両方対応)
指示書 訪問看護指示書(主治医が発行) 訪問リハビリテーション指示書(主治医が発行)
管理者資格 看護師(常勤) 医師またはリハビリ専門職
サービス内容 医療処置・病状観察・リハビリ・ターミナルケアなど 機能訓練・日常生活動作訓練・摂食嚥下訓練など
介護保険での頻度 週3回まで(例外あり) 1回20分×週6単位まで(要介護度による)
医療保険での頻度 週3回まで(別表該当者は制限緩和) 1日3単位まで(1単位20分)

訪問看護とは?基本をおさらい

訪問看護は、訪問看護ステーションから看護師・准看護師が自宅に訪問し、医療的ケアや療養支援を行うサービスです。主治医が発行した「訪問看護指示書」に基づいて提供されます。

訪問看護の主なサービス内容

  • バイタルサイン(血圧・体温・脈拍など)の確認と病状観察
  • 点滴・注射・カテーテル管理などの医療処置
  • 褥瘡(床ずれ)の予防・処置
  • 服薬管理・服薬指導
  • ターミナルケア(看取り支援)
  • 認知症ケア・精神科訪問看護
  • リハビリテーション(PT・OT・STが担当)

訪問看護の特徴は、看護と医療管理を中心としながら、リハビリも一体で提供できる点です。特に退院直後で医療的な観察が必要な時期や、医療処置とリハビリを並行して行いたい場合に適しています。


訪問リハビリテーションとは?基本をおさらい

訪問リハビリテーションは、病院・診療所・介護老人保健施設(老健)から理学療法士・作業療法士・言語聴覚士が自宅に訪問し、機能訓練や日常生活動作の改善を支援するサービスです。

訪問リハビリの主なサービス内容

  • 筋力・バランス・歩行機能の訓練(PT)
  • 手の機能・日常生活動作(ADL)の訓練(OT)
  • 言語機能・嚥下(飲み込み)機能の訓練(ST)
  • 自宅環境の整備・福祉用具の使い方アドバイス
  • 家族への介護指導・ポジショニング指導
  • 社会参加・生活の質(QOL)向上のための支援

訪問リハビリの特徴は、リハビリ専門職が「その人の生活の場」に特化したアプローチを行う点です。病院リハビリとは異なり、実際の生活環境でのリハビリが可能なため、より実践的な効果が期待できます。


【重要】訪問看護ステーションのPT・OT・STによるリハビリとは?

ここが最も混乱しやすいポイントです。訪問看護ステーションには、看護師だけでなく理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)も勤務することができます。

そして、このPT・OT・STが訪問看護ステーションから利用者の自宅に訪問してリハビリを行う場合、それは「訪問リハビリテーション」ではなく「訪問看護」として算定されます。

訪問看護ステーション発のリハビリと訪問リハビリの違い

項目 訪問看護ステーションのPT/OT/ST 訪問リハビリテーション(病院・老健等)
算定区分 訪問看護費として算定 訪問リハビリテーション費として算定
指示書 訪問看護指示書(主治医発行) 訪問リハビリ指示書(主治医発行)
管理体制 訪問看護ステーションの看護師が管理 医療機関のリハビリ部門が管理
医療連携 看護師が医療管理を並行して担当可能 リハビリに特化(医療処置は別途必要)
介護保険の頻度制限 週3回まで(看護と合わせて) 週6単位(1単位20分)まで

つまり、訪問看護ステーションのPT・OTが行うリハビリと、病院・老健から来る訪問リハビリは、提供者・算定・管理体制がすべて異なる別のサービスです。利用者から見ると「どちらも自宅でリハビリを受ける」ように見えますが、制度上は明確に区別されています。

訪問看護ステーションのPT・OTによるリハビリを選ぶメリット

  • 看護師とリハビリ職が同じ事業所で情報共有できる
  • 医療処置(傷の手当・点滴など)とリハビリを一元管理できる
  • 退院直後など医療的観察が必要な時期に適している
  • 精神科・認知症など医療的配慮が必要なケースに強い

医療保険と介護保険、どちらが適用される?

訪問看護・訪問リハビリともに、介護保険と医療保険の両方が適用される可能性があります。基本的には介護保険が優先されますが、医療保険が使われるケースもあります。

介護保険が使われる場合

  • 要介護1〜5、または要支援1・2の認定を受けている方
  • 65歳以上(第1号被保険者)、または40〜64歳で特定疾病がある方(第2号被保険者)

医療保険が使われる場合(例外)

  • 40歳未満の方
  • 要介護・要支援認定を受けていない方
  • 特掲診療料の施設基準等の別表第7(厚生労働大臣が定める疾患等)に該当する方
  • 急性増悪や退院直後など、特別訪問看護指示書が発行された場合

詳しい別表7・別表8の内容については、以下の記事もご参照ください。


費用を比較:訪問看護 vs 訪問リハビリ

費用は保険の種類・要介護度・サービスの利用頻度によって異なります。以下はおおよその目安です(自己負担割合は1割の場合)。

介護保険を使った場合の費用目安

サービス 1回あたりの単位数(目安) 自己負担(1割)の目安 頻度の上限
訪問看護(30分〜1時間未満) 約821単位 約820円〜 週3回まで(原則)
訪問看護ステーションのPT/OT(20分) 約293単位 約290円〜 週3回まで(看護と合算)
訪問リハビリテーション(20分) 約307単位 約310円〜 週6単位まで

※単位数・費用は地域・事業所・加算によって変わります。詳しくは担当のケアマネジャーにご確認ください。

医療保険を使った場合の費用目安

医療保険での訪問看護は、1日1〜3回の訪問が可能(別表7・8該当者などは週4回以上可)で、1回の費用は在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料として算定されます。

  • 在宅患者訪問リハビリテーション指導管理料:1単位(20分)につき約300点
  • 1日最大3単位(60分)まで算定可能
  • 3割負担の場合:1単位あたり約270円

介護保険と医療保険では、利用できる回数・費用の計算方法が異なるため、どちらが有利かはケースバイケースです。ケアマネジャーや主治医に相談しながら検討しましょう。


ケース別ガイド:どちらを選ぶべきか?

「訪問看護」と「訪問リハビリ」のどちらを選ぶべきかは、利用者の状態・目的・生活状況によって異なります。以下のケース別ガイドを参考にしてください。

訪問看護が向いているケース

  • 退院直後で医療的な観察・管理が必要な方
  • 点滴・カテーテル・褥瘡処置など医療処置が続く方
  • 医療処置をしながらリハビリも並行して進めたい方
  • ターミナル期(人生の最終段階)にある方
  • 精神疾患・認知症で医療的配慮が必要な方
  • 別表7・8に該当する難病や重篤な疾患がある方

訪問リハビリテーションが向いているケース

  • 身体機能の回復・維持が主な目標の方
  • 歩行・立ち上がり・手の動きなど運動機能の改善を目指す方
  • 嚥下(飲み込み)機能の改善が必要な方
  • 医療処置の必要はなく、リハビリに集中したい方
  • 自宅環境の整備(段差解消・手すり設置など)について専門的アドバイスを受けたい方
  • 週複数回リハビリを受けたい方(週6単位まで対応可)

両方を組み合わせる選択肢も

訪問看護と訪問リハビリは併用が可能です。たとえば、

  • 訪問看護(看護師):週2回・医療管理・服薬管理
  • 訪問リハビリ(PT):週3回・歩行訓練・転倒予防

のように組み合わせることで、医療的ケアとリハビリ両面から在宅生活を支えることができます。ただし、介護保険の支給限度額の範囲内での利用となるため、ケアマネジャーとの調整が重要です。

要支援1・2の方のサービス利用については、こちらの記事も参考にしてください。


利用の流れ:どうやって申し込む?

訪問看護の利用の流れ

  1. 主治医への相談:「訪問看護を使いたい」と相談し、必要性を確認
  2. ケアマネジャーへの相談(介護保険利用の場合):ケアプランに組み込む
  3. 訪問看護ステーションの選定:地域の事業所をケアマネジャーが紹介
  4. 主治医が訪問看護指示書を発行
  5. サービス開始

訪問リハビリの利用の流れ

  1. 主治医への相談:かかりつけ医や病院の担当医に相談
  2. ケアマネジャーへの相談(介護保険利用の場合):ケアプランに組み込む
  3. 提供機関の選定:病院・診療所・老健の訪問リハビリ部門
  4. 主治医が訪問リハビリ指示書を発行
  5. サービス開始

どちらも主治医の指示書が必須です。まずはかかりつけ医やケアマネジャーに相談することが第一歩です。


よくある質問(FAQ)

Q1. 訪問看護でリハビリを受けることはできますか?

A. はい、できます。訪問看護ステーションには理学療法士(PT)・作業療法士(OT)・言語聴覚士(ST)が勤務していることがあり、看護と同様に自宅を訪問してリハビリを提供します。この場合の費用は「訪問看護費」として算定されます。ただし、すべての訪問看護ステーションにリハビリ職が在籍しているわけではないので、事業所に確認が必要です。

Q2. 訪問看護と訪問リハビリはどちらが安いですか?

A. 一概にはいえませんが、1回あたりの費用は訪問看護ステーションのPT・OTによるリハビリ(20分)のほうがやや安い傾向があります。ただし、必要なサービス内容・頻度・保険の種類によって大きく変わります。費用だけで判断せず、必要なサービスの内容で選ぶことが大切です。詳しくはケアマネジャーに試算を依頼してみましょう。

Q3. 訪問看護と訪問リハビリは同時に使えますか?

A. はい、原則として併用できます。ただし、介護保険の支給限度額内での利用となります。両方を利用する場合は、ケアマネジャーにケアプランの調整を依頼してください。

Q4. 訪問リハビリは病院にかかっていないと使えませんか?

A. 訪問リハビリテーションは、病院・診療所・老健から提供されるサービスです。そのため、提供元の医療機関や施設に所属する医師が指示書を発行する必要があります。かかりつけ医がいる医療機関や老健に「訪問リハビリをお願いしたい」と相談してみてください。

Q5. 要支援でも訪問リハビリは使えますか?

A. はい、要支援1・2の方でも介護予防訪問リハビリテーションとして利用できます。ただし、要支援の方は「介護予防・日常生活支援総合事業」の対象となる場合もあり、サービス内容や費用が要介護の方と異なることがあります。担当のケアマネジャー(要支援の場合は地域包括支援センター)に確認してください。

Q6. 訪問看護ステーションのPT・OTと、訪問リハビリのPT・OTで技術の差はありますか?

A. 資格・技術の差は基本的にありません。どちらも国家資格を持つリハビリ専門職です。違いは所属先と提供するサービスの算定区分です。担当者との相性や事業所の専門性(小児・神経疾患・嚥下など得意分野)を確認して選ぶとよいでしょう。

Q7. 訪問看護の頻度は週何回まで使えますか?

A. 介護保険を使う場合、原則週3回までです。ただし、別表7(厚生労働大臣が定める疾患等)に該当する方は週4回以上(医療保険適用)、特別訪問看護指示書が発行された場合は連続14日間の毎日訪問も可能です。詳しくは主治医やケアマネジャーにご相談ください。


まとめ:訪問看護と訪問リハビリ、選ぶポイントは「目的」

訪問看護と訪問リハビリの違いを整理すると、次のようになります。

  • 訪問看護:訪問看護ステーションから看護師が訪問。医療処置・病状管理・ターミナルケアが中心。PT・OTによるリハビリも提供可能。
  • 訪問リハビリ:病院・診療所・老健からPT・OT・STが訪問。機能訓練・ADL改善・生活の質向上が中心。
  • 訪問看護ステーションのPT・OT:訪問看護として算定されるリハビリ。看護との連携が強み。

どちらが「正解」ではなく、利用者の状態・目的・生活環境に合わせて選ぶことが大切です。「どちらを使えばいいかわからない」という場合は、まずケアマネジャーや主治医に相談してみましょう。

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この記事を書いた人

はじめまして。
当ブログ「ひとりじゃない おうち介護」を見ていただいてありがとうございます。

介護福祉士と作業療法士の資格をもち、これまで医療・介護の現場で10年以上の経験を積んできました。
現場では、在宅支援、施設ケア、認知症ケアに携わる一方、訪問看護ステーションにて管理者補佐として裏方業務・請求業務にも従事してきました。

このブログでは、

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