高齢の家族が「要支援1」や「要支援2」と認定されると、介護保険を使ったサービスを受けることができます。しかし、いざ使おうと思っても「何が使えるの?」「どこまで費用が出るの?」と戸惑うことも多いはずです。
この記事では、要支援1・2の違いや使えるサービス、限度額、自己負担、そしてよくある注意点までを分かりやすく解説します。
要支援1・2とは?どんな状態?
要支援とは、介護が必要になるリスクが高く、日常生活の一部に手助けが必要な状態を指します。
- 要支援1:基本的には自立しているが、一部に軽度の支援が必要。例えば、掃除や買い物が難しい、転倒の危険があるなど。
- 要支援2:要支援1よりももう少し介助量が増える。階段の昇降や入浴などに部分的な支援が必要。
※医師の意見書や調査をもとに、市町村が認定を行います。
要支援で使えるサービスの中心は「介護予防・日常生活支援総合事業」
要支援1・2の人は、介護保険サービスの中でも「介護予防サービス」や「地域支援事業」に分類されるサービスを利用します。地域の取り組みによって細かい内容は異なりますが、主に以下のようなサービスがあります。
✔ 主なサービス内容
サービス名 | 内容 |
---|---|
訪問型サービス(ホームヘルプ) | 買い物代行、掃除、調理、ゴミ出しなど。身体介護は原則対象外。 |
通所型サービス(デイサービス) | リハビリや入浴支援、軽い体操、食事の提供など。 |
福祉用具貸与(一部のみ) | 手すり、歩行器、シャワーチェアなど。車いすや介護ベッドは対象外。 |
住宅改修費の支給 | 手すり設置、段差解消など。最大20万円まで。 |
※地域により内容・条件が若干異なります。ケアマネジャーを通じて確認が必要です。
利用限度額と自己負担はいくら?
要支援認定を受けた方は、月ごとの上限額(限度額)の範囲でサービスを1割~3割負担で利用できます。
✔ 利用限度額(2024年度時点)
要支援区分 | 月額限度額(税込) |
---|---|
要支援1 | 5,162円 |
要支援2 | 10,855円 |
※この金額は「給付額」であり、実際のサービス費用の9割相当です。
自己負担は以下のようになります(1割負担の場合):
要支援区分 | 自己負担上限(1割負担) |
---|---|
要支援1 | 約516円 |
要支援2 | 約1,085円 |
※所得に応じて負担割合は 1割・2割・3割 に分かれます。
使えないサービス・注意点
「介護保険=なんでも使える」と思われがちですが、要支援では使えないサービスもあります。
❌ 要支援で使えない主なサービス
- 訪問入浴サービス(要介護者のみ)
- ショートステイ(原則要介護者)
- 福祉用具貸与のうち、特殊寝台(介護ベッド)、車いす、スロープなど
- 訪問看護(原則は医療保険対応)
⚠ よくある注意点
- 身体介護が含まれないことが多い
ホームヘルパーによる支援は「生活援助」が中心です。排泄介助や入浴介助は原則含まれません。 - 限度額を超えると全額自己負担
ケアマネジャーに相談せずサービスを増やすと、限度額を超えてしまい、負担が大きくなります。 - サービスの柔軟性は市区町村で異なる
総合事業は自治体が運営するため、同じ要支援2でも地域によってサービス内容や頻度に差があります。
サービスをうまく使うコツ
- 信頼できるケアマネと話すこと:初回面談で希望や生活の困りごとを丁寧に伝えると、必要なサービスにつながりやすくなります。
- 家族の協力をうまく調整する:買い物やゴミ出しだけ家族がフォローできると、限度額内でリハビリ中心の支援が組みやすくなります。
- デイサービスの体験利用を活用:多くの事業所では、無料または低額での体験利用を提供しています。雰囲気やスタッフとの相性を確認しましょう。
まとめ
項目 | 要点まとめ |
---|---|
要支援とは? | 自立しているが一部支援が必要な状態(1と2がある) |
使えるサービス | 訪問型・通所型・一部の福祉用具・住宅改修など |
利用限度額 | 要支援1:約5,162円/要支援2:約10,855円(給付額) |
自己負担 | 原則1割(所得により2割・3割) |
注意点 | 身体介護は原則なし、限度額超過は全額負担、地域差あり |
📌 最後に
要支援の段階では、「ちょっと手助けがあれば、今の生活を続けられる」ことが多いです。
そのためにも、地域資源やサービスを上手に活用して、介護が必要な状態に進行しないようにすることが大切です。
不安や疑問があるときは、まずは地域包括支援センターやケアマネジャーに相談してみましょう。
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