最近、ニュースや行政からの発表で「訪問看護ステーションの不正請求」が増えているという話題を目にすることが多くなってきました。
この背景には、医療保険制度と訪問看護の報酬体系の関係、そして人手不足や事業所の経営難など、複数の要因が複雑に絡んでいます。
この記事では、訪問看護で不正が増えている理由や代表的な事例を紹介しつつ、今後求められる対策や、利用者ができる“自己防衛”についても考えていきます。
🔍 訪問看護で起きている不正の実態とは?
◾ よくある不正請求のパターン
- 実際には訪問していないのに報酬を請求(架空請求)
- 訪問時間を水増しして過大請求
- 資格がないスタッフによる訪問看護
- 訪問リハビリと偽ったサービス提供
- 1回の訪問を複数に分割して算定
◾ 最近のニュース事例
2024年にも、大阪府内の訪問看護ステーションが、1年半にわたり実際より多い訪問回数を請求していたとして、約1,500万円の返還命令が出されています。
💡 なぜ不正が起きやすいのか?
◾ 医療保険が主な収入源
訪問看護の報酬は医療保険と介護保険が主な財源です。特に医療保険では、管理療養費や特別訪問看護指示書などをうまく活用することで、高い単価の報酬が得られます。
この構造が、**「短期間で利益を上げたい事業者」**にとって悪用されやすいポイントとなっています。
◾ チェック体制が不十分
地方自治体や保険者によるチェックはありますが、全ての請求をリアルタイムに精査するのは難しいのが現実。
特に小規模事業所では、管理者が兼務しており、内部統制が機能していないケースも。
👥 人手不足とノルマの圧力
訪問看護の現場は深刻な人手不足です。
常勤換算での配置が求められますが、実際には訪問件数のノルマがきつい、職員の入れ替わりが激しいなどの背景があります。
その中で、「訪問件数が足りないから水増しして…」という事業所もゼロではありません。
🛡️ 利用者が気をつけるべきこと
- 明細書を確認する(医療費通知や領収書)
- 訪問の実績や回数を自身で記録しておく
- 不審な点があれば、地域の包括支援センターや保険者(市区町村)に相談する
🔚 まとめ
訪問看護は高齢者や障害者の在宅生活を支える大切なサービスです。
だからこそ、不正は許されるものではなく、事業所にも利用者にも「信頼」が求められます。
現場で働く人も、サービスを受ける人も、お互いに安心して関われるような仕組みづくりが今後さらに必要です。
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