「親が入院して、退院後は在宅で介護することになった」「突然、家族の介護が始まって何から手をつければいいかわからない」——そんな状況に直面する方は少なくありません。
この記事では、在宅介護をこれから始める方に向けて、最初に知っておくべき基礎知識を現役の医療スタッフがまとめました。
Contents
まず「介護保険の申請」から始めよう
在宅介護で使えるサービス(訪問介護・デイサービスなど)は、介護保険の認定を受けないと利用できません。退院前・介護が始まる前の早い段階で、住んでいる市区町村の窓口か地域包括支援センターに申請することをおすすめします。
申請から認定まで約30日かかるため、必要になってから動くと間に合わないことがあります。
ケアマネージャーに相談する
要介護認定を受けたら、ケアマネージャー(介護支援専門員)を選びます。ケアマネは介護サービスの「コーディネーター」で、利用者の状況に合わせてケアプランを作成し、各サービスとの調整をしてくれます。
ケアマネへの相談・ケアプラン作成は自己負担なし(無料)です。「何を頼めばいいかわからない」という段階から相談してOKです。
在宅介護で使える主なサービス
| サービス名 | 内容 |
|---|---|
| 訪問介護(ホームヘルプ) | ヘルパーが自宅を訪問。身体介助・生活援助を行う |
| 訪問看護 | 看護師が自宅を訪問。医療的処置・健康管理を行う |
| 訪問リハビリ | 理学療法士等が自宅でリハビリを実施 |
| デイサービス(通所介護) | 施設に通って入浴・食事・レクリエーションを受ける |
| ショートステイ | 施設に短期入所。介護者のレスパイトにも使える |
| 福祉用具貸与 | 車椅子・介護ベッドなどをレンタル(一部購入補助も) |
在宅介護で「やってはいけない」こと
①一人で抱え込む
介護は長期戦です。最初から頑張りすぎると介護者自身が倒れてしまいます。ショートステイやデイサービスを使って、介護者自身の休息時間を確保することが長続きの秘訣です。
②仕事をすぐに辞める
「介護のために仕事を辞めた」という話をよく聞きますが、収入がなくなると経済的・精神的に追い詰められるリスクがあります。まず介護休業制度(最大93日)や介護休暇を活用し、サービスを整えてから判断しましょう。
③住環境をそのままにする
自宅での転倒・転落は介護が必要な方に多い事故です。介護保険を使って手すりの取り付けや段差解消(住宅改修)ができます(上限20万円まで補助)。早めに環境を整えることが事故防止につながります。
困ったときの相談先
- 地域包括支援センター:介護全般の相談窓口。無料で専門職に相談できる
- 市区町村の介護保険担当窓口:申請・制度の手続き
- ケアマネージャー:サービスの調整・プランの作成
- 社会福祉協議会:生活上の困りごと・経済的支援の相談
まとめ
在宅介護は「一人で頑張らない」ことが最も大切です。介護保険の申請・ケアマネへの相談・各サービスの活用を組み合わせることで、介護される側も介護する側も無理なく続けられる体制が整います。まずは地域包括支援センターに相談するところから始めてみてください。
在宅介護でよくある疑問
Q. 離れて暮らす親の介護はどう始める?
A. まず帰省して状態を確認し、地元の地域包括支援センターに相談するのが第一歩です。遠距離介護でも介護保険サービスを使ってサポート体制を整えられます。
Q. 介護サービスはどれくらいの費用がかかる?
A. 介護保険の自己負担は1〜3割です(所得による)。例えば、訪問介護(1時間)の自己負担は約400〜700円程度(1割の場合)。サービスの種類・頻度によって異なるため、ケアマネが試算してくれます。
Q. 介護休業はどのくらい取れる?
A. 介護休業は通算93日(3回まで分割可)。介護休暇は年5日(2人以上なら年10日)取得できます。在宅介護の体制が整うまでの時間稼ぎとして活用しましょう。
在宅介護の「SOS」を見逃さないために
以下のような状況が続いている場合は、在宅介護の限界サインです。専門家や地域包括支援センターに早めに相談してください。
- 介護者(家族)が眠れない・食べられない状態が続いている
- 被介護者への怒りや暴言が増えてきた
- 被介護者の体重が急激に落ちている
- 褥瘡(床ずれ)ができている
- 通院・服薬の管理ができていない
在宅介護は「一人でやり切るもの」ではありません。地域の資源・家族・専門職をうまく活用することが、長期的な在宅介護を支えます。

コメント